前回、初めて麹を育ててみました。菌の成長の様子が把握できたものの、満足のいく結果が得られなかったので、今回はリベンジします。(麹の記事:ザンビアで麹を育ててみた 第1弾)湿度が足りないのが一番の原因に思えたので、水分量が増えるように前回と少しやり方を変えてみることにしました。以下その記録です。
材料
前回と同様に、味噌づくり用に持ってきた乾燥米麹を使って麹を増やします(共麹、友麹というみたいです)。麹づくりをされている方用に菌は市販されていて、一度買えば、年単位で保存可能なようなので、次の機会があれば?日本からの持ち物に加えたいと思います。お米は、先日届いたばかりのザンビア産のコシヒカリを使用(ザンビア産コシヒカリの記事:ザンビア産のコシヒカリがやって来た)。
- お米 3合
- 乾燥米麹 50g
育て方
準備:お米を浸水、水を切る
お米3合ほどをよく洗ってきれいな水に浸し、気温によるそうですが、5~20時間ほど冷蔵庫に置いておきます。指ですりつぶせれば吸水完了、ざるに移して傾け、均一に完全に水が切れるまで2~4時間ほど放置します。今回は、14時間ほど水に浸し、4時間ほど水を切って放置しました。
※お米が十分に水を吸っていなかったり、余分な水分が残っていると、蒸した際にお米の状態にむらが出ます。




準備:お米を蒸す
水を切ったお米を、固めに蒸していきます。可能な手段で何でもいいのですが、うちは圧力鍋があるので、お米をさらしの手ぬぐいに包んで付属の蒸しカゴにセット、強火で加熱して蒸気が出たら鍋をずらして弱火で20分、コンロから鍋を降ろして、自然に圧力が落ちるまで放置しました。その間に、乾燥米麹50gを量っておきます。蒸し上がりは、ややいつものご飯より硬め、指でひねったらお餅のようにお米がつぶれるくらい。




前回は15分蒸したところ、食べてみて芯のないのを確認できましたが、ぎりぎり指でつぶせるくらいのかなり固めの仕上がりでした。今回は、べたつきはしないけれど、手でつぶせるくらいまでは柔らかくしましたが、30分くらい蒸してもいいかも。また、さらしにお米がくっつくので、次回は最初からオーブンシートを使って蒸してみようと思います。
麹菌を植えつける(種切り)
蒸したお米を、しゃもじを使ってオーブンシートを引いたバットに広げ、麹菌が生存できる45℃を切るくらいまでに冷まし、乾燥米麹をまんべんなく入れて擦り混ぜます。




※道具は熱湯またはアルコール消毒、手はきれいに洗いました。オーブンシートは余分な水分の吸収と、お米がくっつかないので、後で移す際に便利なので使っています。
麹菌を発芽させる(引き込み:保温開始)
麹と蒸し米が混ざったら、蒸すときに使って少し乾かしていた手ぬぐいに、オーブンシートごとギュッとまとめて包んで、清潔なビニールに入れます。この時の温度は30℃くらい。それを簡易ヨーグルトメーカーに入れ、温度を安定させるため保冷温バッグに入れました。麹菌が育つには、35~40℃前後がちょうどいいそうなので、時々確認しながら、低いようなら保冷温バッグにお湯を入れた瓶を入れるなど、温度調節を行います(45℃を超えると麹菌が死滅するので要注意)。
※ザンビアは今は冬。最低気温9℃前後まで気温が下がるので、今の季節に麹を放っておいたら発酵が止まってしまいます。本当なら電気毛布や発酵器を使うようですが、計画停電中に使用できるものとなるとこの方法に。温度は、納豆づくりにがあると便利なので、1月の一時帰国時に日本から買って来た、100円均一の温度計で測っています。



前回はオーブンシートは外して直接さらしに包んだのですが、さらしだけだと、水分の蒸発が早かったので、オーブンシートの上からさらしで包みました。また、計画停電中だったので、ヨーグルトメーカーと保冷温袋を使う方法に変更しました。
麹菌を発芽させる:手入れ1回目(切り返し:保温開始から18~20時間)
1回目は保温開始から18時間くらいのタイミングでバットに広げ、消毒したしゃもじで固まりを崩してかき混ぜました。かき混ぜ前の温度は37℃くらい。固まりを崩して全体が均一になるようにし、酸素を送り込むのと同時に、中と外との湿度に差がないようにします。ところどころ白いほわほわしたものが見え始めていて、順調に麹菌が発芽している様子。少し甘い香りもしてきました。かき混ぜが終わったら、再度キュッとまとめて包んでビニールに戻し、ヨーグルトメーカー、保冷温袋に入れます。
前回は手入れ1回目を12時間くらいに行うやり方をしましたが、まだあまり変化がなく、発芽前に温度を下げてしまった感じがしたので、今回は18時間後に行いました。
麹菌を成長させる(盛り:保温開始から24時間~)
7時間後(保温開始から25時間後)、温度が40℃を超えたので、再度バットに広げ、消毒したしゃもじで固まりを崩してかき混ぜました。早いと保温開始から24時間くらいで40℃に達するそうですが、やや外気温が低かったので、24時間あたりで保冷温バッグにお湯を入れた瓶を追加して温度を上げ、27時間かかりました。

全体が透明からやや白色に変わり始めました。ここからは一気に酸素を増やして菌を成長させていきます。ビニールだけ取って、手ぬぐいとオーブンシートに包んだまま、ヨーグルトメーカーにやや平らにして広げて入れます。ヨーグルトメーカーの一番下には、乾燥防止のために少し水を入れておきました。
前回は、24時間後という時間で管理しましたが、今回は、40℃を超えた時点で実施しました。また、水滴が溜まらないようにと、一番下にキッチンペーパーをしいたのですが、乾燥が激しかったので、キッチンペーパーは無し。むしろヨーグルトメーカーの中に水を入れた容器を置いて、湿度を高く維持することにしました。
麹菌を成長させる:手入れ2回目(仲仕事:保温開始から30時間~)
就寝前の4時間後(保温開始から31時間後)、再度40℃以上になったので少し早いですが、再度バットに広げ、消毒したしゃもじで固まりを崩してかき混ぜました。見た目は特に変化は無いですが、40℃を超えると、納豆菌などの違う菌が活性化されたり、麹菌が弱ったりします。40度以上になってしまう場合は、待たずにかき混ぜて温度を下げる必要があるそうです。麹菌が発熱し始めたようなので、この時点でお湯を入れていた瓶は、保冷温袋から出して就寝しました。
麹菌を成長させる:手入れ3回目(仕舞仕事:保温開始から36時間~)
6時間後(保温開始から37時間後)、朝起きて見てみると、40℃を超えていたので、再度バットに広げ、消毒したしゃもじで固まりを崩してかき混ぜました。見た目には大きな変化が無く、発酵が順調?という感じはしないのですが、ところどころ、ほわほわした箇所が出てきた気がします。
麹菌の発熱により40℃が保たれるようになってきたので、最後の12時間は、ヨーグルトメーカーの上にバットのまま置いて、保冷温袋に入れて様子を見ることにしました。ここからは12時間保温し、麹の甘味を引き出すために6時間は40℃を保つようにしていきます。
完成、麹を枯らす(出麹:保温開始から48時間~)
途中やや温度が下がって麹菌の成長が微妙だったので、予定+12時間追加して、結局最後は24時間(保温開始から60時間後)かけました。全体が白く固まり板状になり、割ってみると中まで麹菌が浸透しているのが分かります。これで今回の米麹は完成。麹菌の様子を見て、まだ菌糸の成長が足りないようなら、4日(96時間)くらいまで延長しても問題ないようですが、長期発酵させるとお米が黄色く変色してきます。
最後に固まりを崩して、温度を下げて乾燥させ麹菌の活性を止めて、用途によって冷蔵または冷凍保存になります。今回は、数週間のうちにはまた味噌を仕込む予定なので、12時間ほど放置して乾燥させて、オーブンシート、キッチンペーパーに包んだ後、ビニールに入れ、冷蔵庫保管にしました(結露する場合があるので)。

雑菌管理、温度、湿度に気を付けていれば、適当でもある程度のものができあがります。時間はかかりますが、今回はヨーグルトメーカーを利用したので、思ったより温度管理にも手はかかりませんでした。納豆も同じもので作っているので、納豆菌が繁殖しないかだけ、かなり心配でしたが、恐らく大丈夫だったのではと思います。
前回は完成まで84時間もかかったので、今回は少し短縮。前回は初めてで麹菌の様子がわからず、時間を目安に作業しましたが、今回は温度を基準に手入れ仕事ができたのが、よかったかと思います。お米の乾燥と麹菌の繁殖時間のバランスが取れた気がしました。まだまだ改善点はありましたが。
次回への改善点
寒いうちにもう1回か2回実施してみて、もっと簡単な方法を探りたいので、改善点を記載しておきます。
- お米をふるいにかける
ザンビアのお米は割れているものが多く、小さな粉近いお米もたくさん混じっています。前回もそうでしたが、そこがやや水分が多くなってべとついて、麹菌がそこだけ育ち過ぎて均一にならないため(色もやや緑がかってしまう)、次回は細かなお米は取り除いてみる。 - 蒸し時間を増やす
蒸し上がったときに、微妙に白いところがまだあるお米があったので、均一に蒸すため、10分×2回に分けて蒸して、間で一度かき混ぜてみる。 - 乾燥麹としっかりまぜる
切り返しの際、乾燥麹の周りだけ、白くもふもふした菌糸が出ていました。乾燥米麹を使って作っているので、麹菌をふりかける場合と違って均一に菌がつきにくい気がします。蒸し米と混ぜるときに手でしっかりとお米と擦るように混ぜて、均等に菌が混ざるようにしてみる。 - 保温開始時の温度を高めにする。
外気温が低かったので、かき混ぜることで毎回30℃まで温度が下がりました。38℃くらいが理想なようなので、温度回復までの時間を短めにするため、お湯を入れた瓶を保冷温袋に追加してみる。また、保温後はなるべく触らない作り方もあるようなので、手入れ1回だけにして、24時間触らず保温してみるなどでもいいかも。