仕入れてくるものリストを記事にしていましたが、今回、一時帰国した際に、「にがり」を手に入れてきました(記事:日本で仕入れてくるものリスト)。中国系市場で木綿豆腐は手に入るので、作りたいのは絹ごし。ちなみに個人的にそもそも豆腐はそんなに好きではないので、もう単に作ってみたかっただけです。

ただ、実際に試してみると、動画で見たほど、そう簡単に豆腐は作れず、完全失敗3回。そんなに甘いものではないことがわかりました。絹ごしはまだですが、4回目にして寄せ豆腐と呼んでも良さそうなものができたので、記録に残しておきたいと思います。
失敗理由について
大きく分けて、失敗理由は以下の2つかと思われます。
- 豆乳の大豆固形分(濃度)
- にがりを入れる際の温度
豆乳の大豆固形分
豆腐を作るには、大豆固形分10%以上の、濃い無調整豆乳が必要です。にがりの塩化マグネシウムが豆乳のたんぱく質と化学反応をして固まるため、ある程度の量のたんぱく質が無いと固まらないからです。ザンビアでも豆乳は手に入ると、以前記事に書きましたが(豆乳の記事:ザンビアで大豆から豆乳を作ってみた)、売られているのは飲料用なので、7%くらいのものだけで、豆腐は作れません。手作り豆乳でも試してみましたが、濃度が足りないようで固まらなかったので、まずは豆腐用の豆乳を作る必要がありました。
にがりを入れる際の温度
にがりを入れる温度に関しては、約70~75℃が適温。この温度より高いと化学反応が早く進むため、豆腐として固まる前に分離するし、あまり温度が低くても、固まるのに時間がかかります。本当に一瞬で固まり始めるので、温度管理が豆腐の出来上がりの決め手と言ってもいいかも。参考にした動画内では電子レンジで温めて作っていたのですが、ザンビアの電子レンジは日本のものと比べるとワット数が高めで、温めにムラが出やすいことがわかりました。そうなると、うまく豆腐が固まらず分離してしまいます。
寄せ豆腐を作ってみた理由
ざっくりな説明になりますが、寄せ豆腐は、豆乳を固まる適温に温め、そこににがりを入れて作る豆腐です。豆乳とにがりを混ぜて固める工程を「寄せる」というところからの名前のようで、おぼろ豆腐とも呼ばれます。この豆腐を型に入れて水を抜くと、木綿豆腐になります。
作りたかった絹ごし豆腐は作り方が何通りかあるようですが、素人が作ろうとするなら、冷たい豆乳ににがりを事前に入れて混ぜて置き、均等に温めて固めるのが一番簡単なようです。絹ごしの一種として売られている、充填豆腐の作り方に似ているのかも。
寄せ豆腐は鍋で混ぜながら温めて均等な温度管理ができたところを固めますが、絹ごしは液体を均等に温めるためのテクニック?コツ?が必要となります。なので、おおよその失敗理由がわかったところで、まずは豆腐が作れる豆乳が作れているのか確かめるためにも、寄せ豆腐を作ってみることにしました(もはや絹にこだわる必要があるのかと思いますが)。
寄せ豆腐 材料:出来上がり量500mlほど
- 大豆 200g
- お水 700g(浸水後の大豆の重量のおおよそ1.5倍ほど)
- にがり 10g
- にがりを溶くぬるま湯(50度ほど) 30g
作り方
乾燥大豆をよく洗って汚れを落とし、豆の体積の3倍くらいの量のきれいな水に浸水しておきます(豆が水を吸ったあとも、水に浸っているくらいの量)。海外の豆は日本の豆に比べて乾燥しているので、そのまま24時間くらい冷蔵庫に置くくらいがいいかと思います。

豆の水をよく切り、重量を量って、1.5倍ほどのお水を準備します。このときは、大豆の重量が473g、700gほどの水を使いました。ハンドブレンダーなどで液状にしていきます。うちにはミキサーが無いのでブレンダーを使いましたが、あれば、ミキサーが早くてよりきめ細かくなると思います。
※ネット上には1.2~1.5倍の水を使用するという記載がありましたが、煮るとき、手作業で絞るときに水が多めの方が作業しやすかったので、1.5倍の分量にしています。


きれいに液体状になったら、鍋に移し、強火にかけます。火にかけたら、なべ底が焦げつかないように、ヘラなどで絶えずかき混ぜます。湯気が立ってきたら沸騰前に弱火にして、合計で30分ほど火にかけていきます。泡(アク)がかなり出てくるので、途中少しだけ取り除いておきます(泡を全部取るとかなりの分量になるので、上のほうだけ少し)。
※豆乳に比べて濃いめに煮出すということで、以前に作ったものより煮る時間を多めにしました。



ざるとさらしを使って、液体と固形に分けていきます。熱いうちに作業をしますが、濃度があるのでまずはヘラを使ってザクっと絞っておいて、少し冷めたら小分けにして、手で絞りました。この作業が一番大変かも。今回絞れた豆乳は、514gでした。


絞った豆乳を、75℃くらいにまで鍋でかき混ぜながら温めます。その間に、にがりを準備。にがりに関しては、ネットでも色々と記載がありましたが、今回は基本的に、購入したにがりの説明通りに準備しました。豆乳の1%ほどのにがりを、50℃ほどのお湯で少し薄めて使います。


にがりを入れたらすぐに固まり始めるので、温めた豆乳はそのまま冷やせる耐熱容器に移します。気になる方は、上の泡を取っておくときれいになりますが、今回はそのままにしました(じっくり豆に火を通すと、泡が少なくなるらしい)。ここに薄めたにがりを加え、手早くひと混ぜ、反対回しにひと混ぜかき混ぜたらそのまま粗熱が取れるまで放置します。混ぜすぎると、細かく分離してしまうそうです。だんだんと予熱で全体が固まってくる感じ。このときは冷蔵庫にそのまま入れて、夕飯にいただきましたが、冷やすと段々と水が出てくるようなので、粗熱が取れたくらいで食べるのがふっくらしていておいしいかもです。



塩と醤油で食べてみましたが、豆の味が濃いので、調味料はちょっと付けるくらいがおいしかったです。普段食べる豆腐に比べて、少しにがりの味を感じたので、にがりは1%くらいがいいのかも。そしてにがりを入れる際に温度をもう少し低くすると、より滑らかになるのかもと思ったので、この結果も含めて、次回の豆腐作りに活かしたいと思います。
